たいきょくかん。

大局観、という言葉を私はよく使う。9回終わって1点上回ってればいい野球というゲームにおいて、目先の成功・失敗に囚われすぎてはいけないと感じているからだ。年間50〜60試合も負けていいペナントレースを戦うならばなおさらのことである。


この手の話で有名なのは「森福の11球」。無死満塁から森福が下位打線3人を打ち取ったことで有名なシーンだが、この場面の前の二、三塁で和田が四球を選んだことで落合監督は頭を抱えたそうだ。一見良い結果でありスタンドも盛り上がったが、実際満塁になってはホームもフォースアウトで何の作戦もとれない。打順も下がる。
和田がいつも通り低めを引っ掛けてショートゴロで1点取れればそれで万々歳と思っていたらしい。野球とは得てしてこういうものである。
ちなみにこの話を少し本に入れたいということでお股ニキさんからご連絡頂き、この時の話をさせてもらった。私なんかの名前が載ったのはそういうわけである。w

今日も面白い場面があったので紹介する。オリックスソフトバンクの一戦、山本由伸のあわやノーヒットノーランという快投に注目が集まる中、気になったのは八回裏のオリックスの攻撃だ。
無死1、3塁のチャンスを作りバッターは1番福田。2番の西浦も左なのでソフトバンクは左の嘉弥真を投入。ここで1塁ランナー・佐野が盗塁を決めて2、3塁となったのだが結果福田、西浦が倒れ佐野のボーンヘッドも重なり無得点に終わってしまった。
気になったのは福田西浦のポンコツっぷりでも佐野のボーンヘッドでもない。盗塁である。

無死1、3塁の場面で守備は中間守備を敷いていた。内野ゴロなら3塁走者の生還も見込める場面。しかし、これが2、3塁になってしまうと内野は前進。嘉弥真相手にヒットか外野フライを福田や西浦に求めることになってしまった。
抑えが不安などで2点欲しいならまだしも、今日の山本なら1点あれば十分。最悪ゲッツーでも1点というのもあるし1、3塁のまま福田に内野ゴロでいい楽なシチュエーションを与えるべきだったと感じる。嘉弥真ももうランナーを気にしなくて良くなったので、腹をくくれたようにも見えた。
一見佐野の盗塁はチャンスを広げたように見えるが、実は自軍の首を締めてしまったのではという見方もできるわけだ。
…まぁ本来ボーンヘッドさえなければ二死2、3塁でメネセスには回ったので、考えすぎと言われればそれまでかもしれないが。



目の前のプラス、マイナスは分かりやすくて良い。オリックスのファンからすれば、甲斐から若手のホープが盗塁を決めたのだから喜ばしいことだっただろう。しかし、1歩引いて見ると違う景色が見えてくる。それもまた野球の面白さである。

おしまい。